日本の読み方は「にほん・にっぽん」どちらが正しい?
「日本」の読み方は「にほん」と「にっぽん」のどちらが正しいの?
日本人なら誰でも一度は疑問に感じたことがあると思います。
正解は…
どちらでもOKです。
というよりも、日本政府が「日本」の正式な読み方を決めてない というのが正しいですね。
事実、「にほん」「にっぽん」という2つの読み方は広く浸透していますよね。
だから、「どちらか1つに統一する必要はない」と考えているようです。
でも、過去の歴史を振り返ると、読み方を統一しようという動きもありました。
また、なぜ2つの読み方が生まれたと思いますか?
そんな「日本」の読み方にまつわる歴史物語をわかりやすく解説します。
過去「にっぽん」に統一しようという動きがあった!
過去の歴史を振り返ると、「日本」の読み方を「にっぽん」に統一しようという動きが何度かありました。
岡田啓介首相の時代(1930年代)と、佐藤栄作首相の時代(1960年代)に「にっぽん」に統一しようと議論されましたが、いずれも結論は出ませんでした。
特に、岡田啓介首相の時代(1930年代)は日中戦争が始まる前だったので、「にほん」よりも語感が力強い「にっぽん」に統一したほうがいいという意見が多かったようです。
ただし、外交文書における国号の英文表記は「Japan」から「Nippon」に変更されました。
なぜ「nihon」にならなかったのか?といいますと、フランス語やラテン語を話す人は「H」の音を発音しないことを考慮したようです。
若い人は「にほん」、高齢の方は「にっぽん」が多い
ところで、私たち日本人は「にほん」「にっぽん」のどちらをより多く使用しているのか?といいますと、NHKの最近の調査では、「にほん」派が61%、「にっぽん」派が37%で、若い人ほど「にほん」派が多いことがわかりました。
なぜ、若い人ほど「にほん」と読むのか?といいますと、まず「柔らかい印象で言いやすい」ことが挙げられます。
また、パソコンやスマホの発達も1つの要因になっていると思います。
「にほん」の場合は「nihon」と打てばいいのですが、「にっぽん」の場合は「nippon」と「nihon」よりも1文字多く打たなければなりません。
だから、よりシンプルに入力できる「にほん」派が多いのでしょう。
一方、高齢の方は「にっぽん」と言う方が多いようです。
特に、戦前の方は「大日本帝国(だいにっぽんていこく)」という言葉の影響を受けているので、「にっぽん」と言う方が多いようです。
ちなみに、現在の日本国憲法の読み方は「にほんこくけんぽう」です。
バレーボールは「にっぽん」、サッカーは「JAPAN」
若い人は「にほん」派、高齢の方は「にっぽん」派が多い理由として、語感の力強さがあります。
「にほん」は柔らかい印象がありますが、「にっぽん」は力強い印象がありますよね。
だから、特に戦争を経験した高齢の方は、力強い「にっぽん」を使う人が多いのです。
この語感の力強さが現代にも残っているのが、スポーツなどで見られる「にっぽんコール」ですね。
「にっぽん!」と叫ぶと力強さを感じますが、応援席で「にほん!」と叫ぶ人はほとんどいません。
ちなみに、近年のオリンピックでは、開会式で入場行進する選手団のプラカードもユニフォームも「JAPAN」と記されていますが、1964年(昭和39年)の東京オリンピックのユニフォームには「NIPPON」と記されていました。(プラカードは「JAPAN」でした)
また、スポーツの種類によって「にほん」派と「にっぽん」派が分かれます。
バレーボールは「にっぽん」が多く、チームの愛称は全日本男子が「龍神NIPPON」、女子は「火の鳥NIPPON」です。
一方、サッカーは「監督名+ジャパン」が浸透していますよね。
「ザックJAPAN」や「オシムJAPAN」「なでしこジャパン」などです。
少しややこしいのが企業や団体の名称
「日本」には「にほん」「にっぽん」の2つの読み方がありますが、「日本人」を「にほんじん」と言っても「にっぽんじん」と言っても特に違和感はありません。(よね?)
「日本時間」や「日本列島」「日本一」なども同様です。
ただし、少しややこしいのが企業や団体の名称です。
「株式会社日本○○○」というふうに、会社名や団体名に「日本」が付く場合、「にほん」か「にっぽん」か分かれることになります。
会社名として正式に登記していますからね。
そこで、テレビ朝日には、「にほん」と読むか「にっぽん」と読むかをまとめた辞書があります。
その辞書に載ってない場合は、直接その会社に電話をして尋ねるそうです。
ちなみに、「日本航空」は「にほんこうくう」が正しい読み方ですが、会社の定款の英語訳には「NIPPON KOKU」と記載されているそうです。
なぜ「NIPPON KOKU」になったのかは誰も知らないそうです(驚っ)。
西日本では「にっぽん」、東日本では「にほん」
明治時代、西日本では「にっぽん」、東日本では「にほん」と読む傾向があった、という説がありました。
特に江戸っ子はせっかちなので、早口で「にっぽん」と言っている間に簡略化されて「にほん」という呼び方が誕生したようです。
東京の地下鉄の「日本橋」駅の案内板には「Nihombashi」、大阪の「日本橋」駅には「Nippombashi」と記されてるのも、これが原因かもしれません。
また、福澤諭吉の一万円札には「Nippon Ginko」と記されていますが、明治時代の通貨当局には薩摩藩(鹿児島)出身者が多く、彼らは音韻的に力強い「にっぽん」を好んで使っていたため、紙幣には「Nippon Ginko」と印刷するようになったようです。
やっぱり、西日本に「にっぽん」派が多いようです。
「日本」という国名はいつ生まれたの?
それでは、「日本」という国名はいつ生まれたのか?といいますと、西暦700年頃だと考えられています。
当時日本が中国に送った国書の中で「天皇」のことを「日出ずる処の天子」と表現しました。
中国よりも日本の方が東側に位置していて、先に太陽(日)が昇るので、「日出ずる処」というわけです。
この「日出ずる処」が「日が出てくる本(もと)にある国」となり、さらに「日の本」から「日本」に変化しました。
ちなみに、その当時中国は日本のことを「倭(わ)」と呼んでいました。
「倭」の言葉には「従順」「ゆだねる」などの意味があり、日本はこの呼び方をあまり好ましく思っていませんでした。
そこで、「日出ずる処」を意味する「日本」という国名を生み出したのだと考えられています。
ただし、当時の日本の人々は「日本」を「にほん」や「にっぽん」ではなく「ひのもと」と読んでいました。
その後、中国は「日本」のことを「ニエットプァン」と発音していたため、日本人もこの発音を真似して「にっぽん」と読むようになりました。
西暦800年頃(奈良時代)には人々の間で「にっぽん」という読み方が浸透していたようです。
日の丸の赤色には定義がない
ちなみに、国旗の「日の丸」の赤色もはっきり決まっていません。
法律では「色地は白色、日章は紅色」とだけ記されており、厳密な色の定義はありません。
「日本」の読み方以外にも、厳密に決まっていないものは多いんですね~。
まとめ(超個人的見解)
ここまで「日本」の読み方について解説してきました。
結論としては、「にほん」も「にっぽん」もどちらも正解ということになります。
また、歴史の流れとしては、「にっぽん」が先に生まれ、その後「にほん」という読み方が誕生したようです。
しかし、いつかまた「読み方を統一しよう!」と言い出す政治家が現れるかもしれません。
そんな声が上がる時は、おそらく戦争が起こった時だと思います。
語感が力強い「にっぽん」に統一しよう!と。
しかし、現代において、読み方を統一しようという論争はほとんどありません。
しかも、語感が柔らかい印象の「にほん」のほうが広まっています。
それはつまり、今は戦争がなく、平和な時代であることを証明しているのかもしれません。
また、「国名」という非常に重要な言葉の読み方が2つあることも、日本人らしさだと思います。
0か100かではなく、あやふや。
まさに、わびさびの世界ですね~。