神社とお寺の違い
「神社」と「お寺」って何となく似ていますが、一体何が違うのでしょうか?
一言で説明すると…
「神社」は「神道」のための施設で、神様が住んでいるところ
「お寺」は「仏教」のための施設で、お坊さんが住んでいるところ
ちなみに、神社とお寺を英語で表現すると、神社はShrine(神様を祀るところ)、お寺はTemple(仏様を祀るところ)という意味でなります。
う~~~ん、わかるようで、わからないですね。
そこでまず、神社とお寺の代表的な違いを図式化してみました。
※神社の「獅子や狛犬がいる」は狐や牛である場合もあります。
※神社の「神主さん」の正式名称は「神職(しんしょく)」です。
※お寺には仁王像や金剛力士像がない場合もあります。
※例外的な施設もあります。
「神道」と「仏教」の違い
先ほど神社は「神道」のための施設、お寺は「仏教」のための施設と説明しましたが、そもそも「神道」と「仏教」の違いがよくわからないと思いますので、それぞれ説明しますね。
まず、「神道」とは何か?といいますと、日本生まれの宗教で、多くの神様があります。
山・森・石・海・神木といった自然から特定の人物までかなり幅広いですね。
この世のあらゆるものに神が宿るという考えから「八百万(やおよろず)の神」という言葉もあるほど、日本人は神様が大好きなのです。
余談ですが、旧暦10月には全国の神様が出雲大社に集まって会議をしているそうです。
そこから10月を「神無月(かんなづき)」と呼ぶようになりました。
(一方、出雲には神様が集まっているから「神在月(かみありづき)」と呼ばれます)
一方、仏教は、古代インドで生まれた釈迦(ブッダ)を開祖とする宗教で、大陸から中国を経由して日本に伝来した外来の宗教です。
なんとなく「神様=キリスト教」というイメージから、「仏教」が日本発で「神道」が外国発という印象がありますが、逆なんですね。
神道と仏教の「教え」
次に、神道と仏教の「教え」について説明します。
まず、仏教から説明しますね。
仏教には「教え」があります。
苦しみと見なされる人の世について、修行をして悟りを開くことで、輪廻転生の輪から抜け出せるという教えです。
自らの過去の行ないが現在の苦楽を決定していて、現在の行ないによって未来の苦楽が決まるというものです。
そこで、お寺で祈ることで、「死後の極楽浄土」や「現世での幸福」を願うわけです。
(どちらを願うかはお寺によって異なります)
一方、神道には「教え」はありません。
教祖や教典などもありません。
「こういうふうにしなさい」という言語化された教えがないので、「教」ではなく「道」という字が当てられているわけです。
だから、神社はただ単に「現世の幸福」を願う場所ということになります。
(神社では「死後の極楽浄土」を願うことはできません)
喪中の間に神社やお寺に行っていいの?
神道では「死」を「穢れ(けがれ)=忌まわしく思われる不浄な状態」と考えているため、喪中の間の神社への参拝は避けたほうがいいです。
事実、喪中の人が境内へ立ち入ることを禁止している神社も多いですね。
また、喪中の間の初詣や神社での結婚式への参加なども控えたほうがいいでしょう。
一方、仏教には「輪廻転生」という考え方があり、故人は49日後に生まれ変わるとされているので、「死」を穢れ(けがれ)として忌み嫌う感情はありません。
なので、喪中の間にお寺を参拝しても問題はありません。
神社とお寺の参拝の仕方
次に、神社とお寺の参拝の仕方を説明します。
それぞれ微妙に違うので、覚えておいてくださいね。
(異なる部分を赤文字で表記します)
神社の参拝の仕方
①本殿に向かって鳥居の前で一礼する
②手水舎で手水をとり、心身を清めてからご神前に進む
(参道はなるべく端を歩く)
③ご神前でお賽銭を入れた後に鈴を鳴らし、「二礼二拍手一礼」を行なう
④最後に鳥居を出る際に再び本殿に向かって一礼する
お寺の参拝の仕方
①山門(お寺の入り口)の前で一礼して境内に入る
②手水舎で手水をとり、心身を清める
③お線香をあげる
④本堂の前で一礼してお賽銭を入れ、上からぶら下がっている鰐口(わにぐち)を鳴らす
⑤拍手はせずに合掌して一礼する
⑥最後に山門を出る際に再び本堂に向かって一礼する
※昔はほとんどのお寺が山の中に建てられていたため、お寺の正面の門のことを「山門」と呼ぶようになりました。
大きな違いは「二礼二拍手一礼」ですね。
「二礼二拍手一礼」をするのは神社だけですから、ご注意ください。
初詣は神社とお寺、どちらに行くべき?
結論から先にいうと、どちらでもOKです。
実は、神社とお寺が明確に区別されるようになったのは、明治時代の神仏分離令(しんぶつぶんりれい)以降から。
意外と最近の話なのです。
それ以前の時代は「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」といって、神様や仏様の区別なく信仰の対象になっていました。
例えば、近畿エリアでは「神も仏も分け隔てなく信仰していた日本独自の信仰心を現代にも取り戻そう」という考えのもと、神社とお寺が手を組んで「神仏霊場会」が発足するなど、基本的に両社は仲良しなので、元日に神社とお寺を両方参拝しても問題はありません。
神社とお寺で「御朱印帳」を分けたほうがいい?
最近、御朱印集めが人気ですね。
そこで気になるのが、神社とお寺で御朱印帳を分けたほうがいいの?という点。
基本的に、神社とお寺で分けなければいけないというルールはありません。
時々「神社とお寺で御朱印帳を分けないと、神様と仏様が喧嘩をする」と言う人もいますが、そんなことはありません。
また、先に説明した「神仏霊場会」では神社(伊勢神宮、春日大社など)とお寺(高野山、東大寺など)が賛同しており、専用の御朱印帳では神社もお寺も一緒に御朱印をもらうことができます。
ただ、なかには神社とお寺の御朱印が混ざっている御朱印帳では、押印を断られるケースも(ごくまれに)あるようです。
これは、神主さんや住職さんの考え方によるものなので、仕方ないですね。
また、日蓮宗のお寺は他の宗派の御朱印と一緒にされるのを拒むところが多いようなので、注意が必要です。
このようなプチトラブルを避けたい方ははじめから「神社用」と「お寺用」などと複数の御朱印帳を持っておくといいですね。
御朱印集めを趣味として継続していく場合は、いつか必ず複数の御朱印帳を購入するはずですから。
また、「神社用」と「お寺用」に分けることで、管理もしやすくなりますし、それ以外に「都道府県別」や「年別」で分けている人もいますよ。
あなたの好みのスタイルで楽しんでください。
まとめ(超個人的見解)
というわけで、「神社」と「お寺」の違いを説明してきましたが、参拝方法以外はそれほど気にしなくていいと思います。
神社もお寺も神道も仏教も、私たち日本人とっては昔から身近で、大切なものですからね。
おそらくほとんどの方が、お正月には神社に参拝して、お葬式はお寺にお願いしているはず。
それでOKです。
形式上、「神社」と「お寺」は区別されているだけで、人々の幸せを願う場所に変わりはありませんからね。